中予分水の計画は、はっきり中止と発表されたことはなく、 依然として続行中であると思わざるを得ません。 平成13年11月、中予地区が見直し案(分水)を事実上拒否し、事業評価監視委員会が、「中予地区の新規用水の水源としての利水事業は除外した上で…」と発表したため、中予分水は中止されたものと受け止められていました。しかし、分水の計画は依然として続いているようです。 ●山鳥坂ダム建設負担金1億2000万円の支出に関する、加戸知事への監査請求に対する 愛媛県監査委員の棄却決定書の中にある文(15監査第10124号 平成15年6月16日付け)※強調は筆者 |
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平成6年の「山鳥坂ダムの建設に関する基本計画」には、中予分水をすることが書かれています。平成14年の「再構築計画案」では、中予分水については触れられていません。 ●去る平成16年1月21日国土交通省大洲工事事務所の質問コーナーでの国交省の方の言葉 ※強調は筆者 |
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もう少し詳しく… 肱川の「正常流量」には、中予分水の量も入っています 基本計画時に山鳥坂ダムにあった中予の水道用水、工業用水は、「見直し案」では「余力」ということになりました。「余力」とは、分水の水ではなく肱川の水ということになります。見直し案では、肱川に、夏期毎秒6.5トン、冬期毎秒5.5トン(基本計画ではそれぞれ毎秒6トンと毎秒5トンでした)の正常流量を流すと肱川の余力は毎秒1.35トンになり、この「余力」を中予へ分水することになっています。「再構築計画案」では、山鳥坂ダムの「余力」はなくなりましたが、山鳥坂ダムの河川環境容量と鹿野川ダムに設けられた河川環境容量と、野村・鹿野川・山鳥坂ダム統一管理で、夏期毎秒6.5トン、冬期毎秒5.5トンの正常流量が流せることになっています。これは見直し案にある流量と同じで、つまり余力も毎秒1.35トンあることになります。 平成16年1月23日に公表された「肱川河川整備計画(素案)」では、肱川の正常流量夏期毎秒6.5トン、冬期毎秒5.5トン確保されるのは大洲地点までであって、大洲地点より下流の正常流量は保障されていません。 平成15年10月に策定された「肱川水系河川整備基本方針」には次のように記されています。 「大洲地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量は、利水の現況、動植物の保護、景観等を考慮して、概ね毎秒6.5トンとし、ただし冬期においては概ね毎秒5.5トンとする。 なお、流水の正常な機能を維持するため必要な流量には、水利流量が含まれているため、大洲地点下流の水利使用の変更に伴い、当該水量は増減するものである。」 分水が中止されたのなら、分水の水を加えた量を正常流量といってそれを流すためにわざわざダムを造るという選択をする人がどれだけあるのでしょうか。 「3ダム統一管理」になったことで、中予の水利権が及ぶ範囲が広くなりました 山鳥坂ダムの基本計画では、分水によって中予が水利権を得るのは、山鳥坂ダムと、肱川の鹿野川ダムより下流の流域でした。しかし、「見直し案」「再構築計画案」で提示された「(野村・鹿野川・山鳥坂の)3ダム統一管理」によって、中予の水利権が鹿野川ダムより上流をも含む肱川全流域に及ぶようになります。 |