村長も町長も「学識経験者」。ダム推進の首長さん達の一人二役。
肱川流域委員会について

 平成15年10月2日、「肱川水系河川整備基本方針」が策定されました。これに先立ち、四国地方整備局が、8月29日に開かれた肱川総合整備(山鳥坂ダム)推進協議会の総会で、肱川流域委員会についての方針を発表しました。<委員の構成メンバーは学識経験者7名、ダム推進協議会のメンバー6名、宇和町または野村町の自治体関係者1名の計14名。議論の内容は、「山鳥坂ダム計画再見直し案」(再構築計画案)を前提にすること、「河川整備計画」策定の時期は今年度中である>という内容です。

              →<参考>「肱川河川整備計画策定の進め方について」(ニュースレター NO.25)
                                国土交通省四国整備局 大洲河川国道事務所


 これに対して、ダム反対の住民の諸団体が、公募による人選や住民団体の推薦する委員の選出と、議論の内容を山鳥坂ダム建設を前提にしないこと、計画策定を今年度中という早すぎる期間に限定しないこと等、申し入れをしました。大洲市長からも、委員に賛否住民を入れて欲しいとの申し入れが出ました。が、四国整備局はこれを無視しました。

※肱川総合整備(山鳥坂ダム)推進協議会は、平成14年11月19日、大洲市喜多郡の首長と議長が、山鳥坂ダム事業のすみやかな推進を要望するために設立された会です。
              →<参考>「ダム計画の推進について」(大洲市ホームページより)

 肱川流域委員会名簿(敬称略) ※国土交通省四国整備局 大洲河川国道事務所 ニュースレター NO.32 より
区 分 氏 名 職 名 ( 専 門 分 野 )
学 識 経 験

の あ る 者
石川 和男 松山東雲女子大学人文学部教授(鳥類、昆虫類、小動物)
伊福  誠 愛媛大学工学部助教授    (海岸工学)
大森 浩二 愛媛大学理学部助教授    (水域生態学)
香川 尚徳 愛媛大学農学部教授     (水質)
佐藤 晃一 今治明徳短期大学長     (生物資源学)
鈴木 幸一 愛媛大学工学部長      (河川工学)
土居 泰正 元大洲市立博物館長     (植物)

流 域 自 治

体 関 係 者

桝田 興一 大洲市長
西田 洋一 長浜町長
河内 紘一 内子町長
宮岡 廣行 五十崎町長
久保田仁之 肱川町長
稲田 秀一 河辺村長
大塚  功 野村町長
※肱川町町長久保田仁之氏は「行政手法が民主的でない」としてリコールされ辞職。
 出なおし町長選で破れたため、現在の町長は大野 和氏。


 四国地方整備局によると、流域自治体の首長は地方自治の専門家であるから、河川法第16条の2 第3項の学識経験者に該当する、ということです。肱川河川整備計画策定の手順は、流域市町村の首長が、河川整備計画の「素案」に対して流域委員(河川に関する学識経験者)として意見を述べ作られた「原案」に対して関係市町村長として意見を述べる(河川法第16条の2 第5項)、という仕組みになっています。同一人物が第3項にも第5項にも出る一人二役は、立場が違うからよい、のだそうです。

 平成15年10月31日に開催された第1回肱川流域委員会で、肱川流域委員会の委員長が決定されました。委員長になったのは、「再構築計画案」を妥当であるとした四国地方整備局事業評価監視委員であった学識経験者です。12月1日に第2回肱川流域委員会が開催され、平成16年1月23日に「肱川水系河川整備計画(素案)」が公表され、1月26日に第3回肱川流域委員会が開催されました。

 去る平成16年2月2日から6日まで、流域各地で「意見交換会」という説明会がありました。あと1回、3月に開かれる肱川流域委員会において、「肱川水系河川整備計画」は策定されようとしています。


 第1回肱川流域委員会では、肱川流域委員会を不当とした住民と四国整備局との間に混乱がありました。そのためか、第2回肱川流域委員会は、静かな会に40人の警備員の他、警察、整備局の職員が出動していたという異様なものでした。

 肱川流域委員会の、全国にも例のない特異さは注目の的になっています。四国地方整備局へは、多くの団体が抗議しています。
 去る1月26日には、日本弁護士連合会から、河川法改正の趣旨を著しく没却しているとして、肱川流域委員会の委員の追加と十分な審議を求める意見書が、愛媛県と四国地方整備局へ提出されました。
(※詳細は追って掲載します。)